うたよむブログ

短歌のこと、読書会のこと

2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

虹の下くぐり行くとは知るはずも・・・(高安国世) @現代短歌の鑑賞101

虹の下くぐり行くとは知るはずもなき遥かなる車見て居り 高安国世/『朝から朝』S47 ピントの合った美しい歌だ。 虹の下をくぐる。 誰もその経験を実感はできない。 でも、遠くからならば見ることができるのだ。 物事には、それを知る適当なピントのような…

戦争が(どの戦争が?)終わったら・・・(萩原裕幸) @現代短歌の鑑賞101

戦争が(どの戦争が?)終わったら紫陽花を見にゆくつもりです 萩原裕幸/『あるまじろん』H4 8月は戦争の歌を多く聞く機会があった。 その度に、何とも言えない感覚に陥った。 原爆や空襲を体験した生々しい歌。 それらを聞く時、想像するのは想像上の戦争…

如何ならむ思いにひとは鐘を打つ・・・(道浦母都子) @現代短歌の鑑賞101

如何ならむ思いにひとは鐘を打つ鐘打つことは断愛に似て 道浦母都子/『ゆうすげ』S62 道浦母都子さんの歌を知ったのは、学生時代に読んだ俵万智さんの『あなたと読む恋の歌百首』の巻頭を飾った下の歌だった。 全存在として抱かれいたるあかときのわれを天…