うたよむブログ

短歌のこと、読書会のこと

2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

樹枝状のブロッコリーを囓るとき・・・(杉崎恒夫)

樹枝状のブロッコリーを囓るときぼくは気弱な恐竜である 杉崎恒夫/『パン屋のパンセ』H22 杉崎恒夫さんの『パン屋のパンセ』より。 ブロッコリーを齧ることをこう表現されると、感覚が一気にジュラ紀まで飛んでしまう。 1億年以上も前の話だ。 木が生い茂る…

すさまじくひと木の桜ふぶくゆゑ…(岡野弘彦) @現代短歌の鑑賞101

すさまじくひと木の桜ふぶくゆゑ身はひえびえとなりて立ちをり 岡野弘彦/『滄浪歌』S47 桜を考えるとき、ソメイヨシノが違和感を持って付きまとう。 今、最も一般的な桜のひとつであるソメイヨシノは、全てクローンであるという(=接ぎ木でしか増やせない)…

サンチョ・パンサ思ひつつ来て何かかなし…(成瀬有) @現代短歌の鑑賞101

サンチョ・パンサ思ひつつ来て何かかなしサンチョ・パンサは降る花見上ぐ 成瀬有/『遊べ、櫻の園へ』S51 春の憂いを感じさせる歌だ。 サンチョ・パンサは、『ドン・キホーテ』に出てくる、破天荒であるドン・キホーテの従者で、まっすぐな人物だ。 下句は主…