うたよむブログ

短歌のこと、読書会のこと

2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

庭のうめ花二三輪のこれるは…(上田三四二) @現代短歌の鑑賞101

庭のうめ花二三輪のこれるは咲きそめのころに似てうひうひし 上田三四二/『照徑』S60 年をとると、子供のようになるとよく言われる。 きゃらきゃらと笑う母。偉大な駄々っ子に変貌する父。 そういうのを垣間見たとき、老いを感じずにはいられない。 幼児性か…

「ナイス提案!」「ナイス提案!」うす闇に…(堀合昇平)

「ナイス提案!」「ナイス提案!」うす闇に叫ぶわたしを妻が搖さぶる 堀合昇平/『提案前夜』H25 掲出歌の「わたし」は、「ナイス」といいながら、むしろ夢にうなされている。 その"心"とハイな"気分"の食い違いに、自分ですら違和感を持たなくなっていく怖さ…

わたしよりうつくしい眼のそのひとに…(大森静佳)

わたしよりうつくしい眼のそのひとに如雨露のような性欲だろう 大森静佳/『てのひらを燃やす』H25 多すぎず、少なすぎず、ある花をきれいに咲かせるのに十分な如雨露の水。 そして、花に向かってだけ注がれる如雨露の水。 花はそれを知ってか知らずか、すく…

握り飯をジンジャーエールで流し込む…(斉藤真伸)

握り飯をジンジャーエールで流し込むわが飲食を犬が見みていた 斉藤真伸/『クラウン伍長』H25 ジンジャーエールが生姜の飲み物だと知ったのは大人になってからだった。 それまでは"ジンジャー”を気にも留めず、ジンジャーエールとは単に炭酸飲料の一種だと思…