うたよむブログ

短歌のこと、読書会のこと

2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「たとへば」とひといき入れて想念の…(佐藤通雅)

「たとへば」とひといき入れて想念の尾をつかまんとしたのであるが 佐藤通雅/『強霜』H23 何かを伝えようとするとき。 ちょっと伝わりにくいから、”たとえ”を使おうとする。 勢いで「たとえば…」といえば、自然とその続きが出てくるはずだった。 しかし、出…

きみが手の触れしばかりにほどけたる…(今野寿美) @現代短歌の鑑賞101

きみが手の触れしばかりにほどけたる髪のみならずかの夜よりは 今野寿美/『花絆』S56 髪の毛に触れられる。そんなことで恋愛が後戻りできない地点まで来てしまう。 冷静に見ればありえない。 けれど、その瞬間までの間に見えない幾つもの積み重ねがあったの…

山ゆりの遠いところに咲くような…(吉川宏志)

山ゆりの遠いところに咲くようなやさしさに会い夜半(よわ)に苦しむ 吉川宏志/『曳船』H18 吉川宏志さんの『曳船』より。 なんて狂おしい恋の歌だろう。 夜という時間は、人を冷静にも、狂おしくもさせる。 日中に起きた出来事を、冷静に振り返るのは夜である…

樹形図

『短歌』2011年11月号(角川学芸出版)に「樹形図」7首掲載されました。もし手にする機会がありましたら、読んでいただけると嬉しいです。