うたよむブログ

短歌のこと、読書会のこと

2014-01-01から1年間の記事一覧

黄金結界(『うた新聞』11月号)

うた新聞11月号の特集「色彩の歌」に「黄金結界」3首と100文字エッセイが掲載されています。もし手にする機会がありましたら、読んでいただけたら嬉しいです。

シェルターのように敬語をつかわれて・・・(俵万智)

シェルターのように敬語をつかわれて牛タンネギ塩じんわりと噛む 俵万智/『オレがマリオ』H25 この歌に魅かれたのは牛タンが入ってるからじゃないの?と言われれば、そうですというしかない。 仙台人にとってきっと牛タンはちょっと特別な位置づけの食べ物な…

制服にセロハンテープを光らせて・・・(山崎聡子)

制服にセロハンテープを光らせて(驟雨)いつまで私、わらうの 山崎聡子/『てのひらの花火』H25 「箸が転んでもおかしい年頃」という言葉をふと辞書で見たときに驚いた。 思春期の女子に対していう言葉だという。 女子だけ? あの、くだらないことで、理由も…

温泉虫(ユスリカ) (『現代短歌』8月号)

『現代短歌』8月号「結社の力Ⅱ」の結社推薦歌人特集に短歌「温泉虫(ユスリカ)」7首が掲載されました。日本歌人に入ったのは、前川佐重郎の『彗星紀』の一首を知って、この人から短歌を習いたい!と思ったのがきっかけです。 もし手にする機会がありましたら…

たつた一人の母狂はせし夕ぐれを…(前川佐美雄) @現代短歌の鑑賞101

たつた一人の母狂はせし夕ぐれをきらきら光る山から飛べり 前川佐美雄/『大和』S15 狂気の一番美しい瞬間がこの歌にはあるように思う。 不甲斐なさとか、やるせなさとか、絶望とか。狂気の引き金となったすべてをひっくるめて、身を投下する瞬間。 マイナス…

記憶の遊び場(『うた新聞』5月号)

『うた新聞』5月号「ライムライト」のコーナーにエッセイ「記憶の遊び場」を寄稿しました。地名の入った歌についてのあれこれ。場所の記憶は人の記憶?もし手にする機会がありましたら、読んでいただけたら嬉しいです。

庭のうめ花二三輪のこれるは…(上田三四二) @現代短歌の鑑賞101

庭のうめ花二三輪のこれるは咲きそめのころに似てうひうひし 上田三四二/『照徑』S60 年をとると、子供のようになるとよく言われる。 きゃらきゃらと笑う母。偉大な駄々っ子に変貌する父。 そういうのを垣間見たとき、老いを感じずにはいられない。 幼児性か…

「ナイス提案!」「ナイス提案!」うす闇に…(堀合昇平)

「ナイス提案!」「ナイス提案!」うす闇に叫ぶわたしを妻が搖さぶる 堀合昇平/『提案前夜』H25 掲出歌の「わたし」は、「ナイス」といいながら、むしろ夢にうなされている。 その"心"とハイな"気分"の食い違いに、自分ですら違和感を持たなくなっていく怖さ…

わたしよりうつくしい眼のそのひとに…(大森静佳)

わたしよりうつくしい眼のそのひとに如雨露のような性欲だろう 大森静佳/『てのひらを燃やす』H25 多すぎず、少なすぎず、ある花をきれいに咲かせるのに十分な如雨露の水。 そして、花に向かってだけ注がれる如雨露の水。 花はそれを知ってか知らずか、すく…

握り飯をジンジャーエールで流し込む…(斉藤真伸)

握り飯をジンジャーエールで流し込むわが飲食を犬が見みていた 斉藤真伸/『クラウン伍長』H25 ジンジャーエールが生姜の飲み物だと知ったのは大人になってからだった。 それまでは"ジンジャー”を気にも留めず、ジンジャーエールとは単に炭酸飲料の一種だと思…

創つくる(河北新報1月28日夕刊)

河北新報1月28日夕刊カルチャー面「創(つくる)」で取り上げられました。もし手にする機会がありましたら、読んでいただけたら嬉しいです。

いくつかは恋(『短歌研究』2月号)

『短歌研究』2月号「相聞・如月によせて」に「いくつかは恋」7首と相聞歌のエッセイで松平修文の歌を取り上げました。もし手にする機会がありましたら、読んでいただけたら嬉しいです。