うたよむブログ

短歌のこと、読書会のこと

2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

口に鼻に泥の詰まりし遺体あり…(高野公彦)

口に鼻に泥の詰まりし遺体ありその気高さは人を哭(な)かしむ 高野公彦/『赤卒』H23角川短歌6月号 この歌を読んでどう思っただろう。 凄惨な情景がひしひしと伝わって、印象を強く受けたか、 あるいは、 おそらく遺体を目の当たりにしていないはずなのに、…

死のことも夜の休息も柔らかき…(稲葉京子) @現代短歌の鑑賞101

死のことも夜の休息も柔らかきやさしき音に「ねむる」と言へり 稲葉京子/『沙羅の宿から』H4 目覚めることができるのが夜の休息で、それが叶わなくなったものが死。 人間の生きている間の行為である睡眠と、生とは断絶しているはずの死が、「ねむる」という…