うたよむブログ

短歌のこと、読書会のこと

2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

咲きたるは咲かざるよりも苦しけれ・・・(蒔田さくら子) @現代短歌の鑑賞101

咲きたるは咲かざるよりも苦しけれ地を擦る萩のこの乱れ様 蒔田さくら子/『鱗翅目』H5 花として生まれればは咲きたい。 しかし、咲けば幸せとは限らない。 掲出歌は、まだ花びらを散らす時期でもないのに、コンクリートに擦れて散ってしまう萩の苦しさが描か…

家じゅうのもののあり処は妻病めば・・・(小高賢) @現代短歌の鑑賞101

家じゅうのもののあり処は妻病めばいっさい謎のごとく暗みぬ 小高賢/『太郎坂』H5 これはもう、そうでしょう!と言いたい女性も多いかもしれない。 一方で、そんなことはないなぁ、という人もいるだろう。 特に今は共働きも、家事分担も一般的だ。 家のどこ…

竪穴に落ちたのか俺が穴なのか・・・(吉川宏志) @現代短歌の鑑賞101

竪穴に落ちたのか俺が穴なのかレモンの皮をここに捨てるな 吉川宏志/『青蟬』H7 竪穴ってなんだろう。 垂直に掘った穴。横に広がることはない。 ただ、深く、深く下に向かう穴。 そこは暗く、地上からとっても遠い、別世界のようだ。 上句では大混乱している…

あおあおと一月の空澄めるとき・・・(岡部桂一郎)

あおあおと一月の空澄めるとき幻の凧なか空に浮く 岡部桂一郎/『竹叢』 岡部桂一郎さんの『竹叢』(岡部桂一郎全歌集)より。 凧なんて最後に見たのはいつだろう。 小さい頃、お正月に遊んだ記憶がかすかにあるだけだ。 もう、凧は現実の玩具ではなくイメー…